“心拍数”で正しい道を選択する方法

アイデアのひらめく人、
カンの鋭い人は、
心拍数を数える練習をしている。

◎無意識に「正しい選択」ができる術を身につける！

心拍数を意識すると、カンが鋭くなる!?

　私はジョギングを習慣にしているのですが、「心拍数」についてはかなり意識するようにしています。
　走った距離や時間以上に、心拍数が大事だと考えているのです。
　安静時の心拍数（1分間の脈動の数を数えます）の標準は、男性で60～70、女性で65～75と言われています。１１０～１５０は有酸素運動、１５０を超えると無酸素運
動の状態になります。

　私が近所の坂道を勢いよく上がるときの心拍数はだいたい１５０くらいだったのですが、継続するうちに、同じように走っても１３０くらいまで落ちるようになりました。
　そして、ランニングウォッチで確認しなくても、いま自分の心拍数がどのくらいわかるようになってきました。
　自分の心拍数を意識することを続けると、カンが鋭くなるようです。ジョギング中にアイデアがひらめくことが多くなりました。ＡかＢか、どちらにしようか判断つきかねている問題も、「Ａだ」と閃くのです。

ケンブリッジ大学、心拍数とカンにまつわる実験

　そんなことを考えていたら、面白い実験データを見つけました。
　ケンブリッジ大学のバーナビー・ダン氏ら研究チームが行った、心拍数とカンにまつわる実験です。
　まず被験者に自分の心拍数を数える練習をさせます。手首をおさえて脈を数えるのではなく、心で感じる心拍数です。そして、４組のトランプの束から、表向きに置かれたカードと同じ色を引き当てられるかを競い、勝てば賞金をもらえるというゲームを行います。

　実は研究チーム側が事前に手を入れており、４つの束のうちＡ、Ｂの束は勝率を上げておいたので、Ａ、Ｂの束を選べば大勝できる仕組みでした。結果は、心拍数を正確に数えられる被験者ほど直感が鋭くなり、勝ち組カードを選ぶようになりました。
　不思議なことに、勝てる見込みの低いＣ、Ｄの束を選ぶと、被験者の心拍数が上昇するという身体的シグナルが発せられていたそうです。
　心拍数を正確に数えられた人は、この身体的シグナルに無意識に気づき、カンが鋭くなったのです。

酸素不足の状態を作ることでひらめきを得られる

　自分の心拍数に意識を向けるようにすると、無意識に「正しい道」を選択できるようになるかもしれません。
　また、あえて酸素不足の状態を作ることでひらめきを得られるという話もあります。
　発明家のドクター中松こと中松義郎さんは、プールに潜って限界まで息を止め、それから顔を出すことで世界的発明のインスピレーションを得てきたそうです。
　アメリカの脳研究者ウィン・ウェンガーは、学生の頃潜水が好きで長時間プールに潜っていたところ、それまであまり良くなかった成績が急に良くなったそうです。
　これは、息を止めることで脳が「酸素が不足している」と錯覚し、頚動脈を開いて酸素を含んだ血液を通常以上に脳に運ぶから。脳に酸素が行き渡り、頭が冴えるのですね。

　プールに潜らなくても、息を止めることで同じような状態を作ることができますから、息を吸って、いったん止めてからゆっくり吐くといった呼吸法を取り入れるのもいいのではないでしょうか。