
易経から学ぶ「中する」という考え方
ビジネスでうまくいく人は、
「独り占めしない」ことをわきまえている。
◎自分ばかりがトクをしようとすると、必ずしっぺ返しに遭う!
私の大好きな本の一つに『超訳・易経』(竹村亜希子・著 角川SSC新書)があります。
易経は東洋の古典でも最古の書。
単なる占いの書ではなく、著者の竹村亜希子さんによれば「これから起こるきざしを知り、対処法を考えるための書」です。
易経について知らなくても、陰陽の考え方は聞いたことがあるのではないでしょうか。
あらゆる物事は陰と陽に分けることができ、たとえば1日を分ければ昼が陽で夜が陰、自然を分ければ天が陽で地が陰といった具合です。
もちろん、すべての物事は白か黒かのようにハッキリと分かれるわけではなく、同時に正反対の二面性を持っており、陽が多くなれば陰が少なくなり、陰が多くなれば陽が少なくなるというように変化をしています。
易経が教えてくれる一つの重要な考え方は、陽が多いからいいというわけではないことです。
何もかもがうまくいき、イケイケドンドンのときは「陽の時代」ですが、陽は必ず陰に転じます。
絶対的な陽というのはありえません。
陰と陽が交わることで物事は変化し発展していくことになります。
「中する」こととは?
こういった物事の理の中で、どう対処していくのかというと、「中する」ことです。
易経はあの手この手で「中する」ことを教えているとも言え、一言で言うのは難しいのですが、陽よりも陰を多くしておくことで、いい変化が起きるように対処するというイメージです。
陰の力を発揮することで、新たな陽の力を引きこむのです。
私の言葉で簡単にして言うと、「欲張らない」「一人勝ちをしない」「独り占めをしない」ということになります。
いいことは人に譲り、自分は少し不足しているような状態をつくるのです。
ビジネスで何かうまくいったときに、周囲の人に「やり方を教えてほしい」と言われることもあるでしょう。
「中する」考え方を持っている人は、喜んで教えてあげます。
自分ばかりが得をしたいと欲張っていると、気づいたときには陰に転じて苦しい思いをすることを知っているからです。
そのときは損をしたとしても、損すなわち陰を持っておくことで、新たないいことが入ってきてくれるのです。
分け与えるタイプの人は成功している
会員さんを見ていても、欲張らずに周りの人に分け与えるタイプの人は成功しています。
私はコンサルティングを行う中で、会員さん同士のマッチングをすることも多くあります。
たとえば、ホームページ制作をやっている会員さんと、これからホームページを作りたい会員さんがいて、お互いうまくいくだろうと思ったときにご紹介するのです。
すると、「お客さんを紹介してくれた」ということで、「紹介料を払いましょうか?」と言われたりします。
マッチングで紹介料をとる人も多いのでしょうね。
しかし私は「私はいらないので、そのぶんサービスしてあげてください」と答えます。
紹介料まで欲張ろうとは思いません。
こういったことが回りまわって、たとえば私が東京でセミナーを開催するというときに、無償で手伝いたいと何人も手を挙げてくれます。
これは簡単な例ですが、中する考え方で「今の自分は欲張っていないだろうか?」と時々振り返るのはとても大切だと思います。